平成19年5月22日〜29日にかけて、京都祇園の楽空間小西において

開催された“藍の風/格子の中へ・うかい小夜子展”に家元・松本司

頌が作品を協力出品しました。

 うかい小夜子さんは、家元の美術専門学校(現京都芸大)時代以来

親友である、うかい昭平さんの奥さんで、藍染めの作家さんです。

 名古屋在住のうかいさんが、京都で初個展を開かれるということで、

うかいさんからの依頼を受けた協力出品でした。

 会場は、京都祇園の画廊“楽空間 小西”でした。

 小西さんは、一部を改装されてだけで、昔ながらの町家の

雰囲気を残した和空間です。

 土間があり、床の間のある和室、坪庭を経て奥の離れへと

続く、京都の町家の特徴である《うなぎの寝床》奥に細長い

情緒豊かな画廊です。

 和の佇まいを楽しむかのように、うかいさんの藍染めの

パラソルやタペストリーが展示され、ポイントポイントに、

うかいさんの作品とコラボレートされた松本司頌の《竹の

記憶2007 藍との出合い》と題した5点が展示されま

した。

 展示作品は、主材の竹とパラソルやタペストリーがさま

ざまな形で合体し、コンピューター基盤やアクリルの水槽

といった異素材との組み合わせがあれば、藍色の布を花に

見立てた作品もあり、「はなしょうぶ」や「かえで」、「しま

がま」などの季節の花と取り合わせた、遊びごころいっぱいの

斬新で繊細な作品が空間に溶け込んでいました。

 会場の「小西」さんの場所柄、表の花見小路を舞妓さんが時

折通り、作品の背景の格子から風情ある景色が見られました。

 また、早朝の陽光が、格子を通して部屋に射し込み、水槽に

張られた水面がキラキラと輝き、その反射が室内を揺れ照らす

様は、得も言われぬ幻想的な光景でした。

 京都観光の合間に訪れたお客さんが、ゆったりと流れる京都

時間にのんびりと浸り、偶然訪れた思いがけない隠れた観光地

に、ついつい長居をしてしまった方々も…

 会期中は、ほとんど晴天続きで、5月の末といえども、汗ばむ陽気

でした。心地よい風が通り抜ける「小西」さんの爽やかな空間でゆっ

くりとしていかれる方が多かったようです。

 地元の名古屋から毎日京都へ通われたうかいさんも、楽しくて、幸

せな時間を過ごすことができましたと、大成功、大満足の京都初個展

をたいへん喜ばれてました。

 この展覧会の記事が、京都新聞の美術欄に取り上げられました。

(新聞記事)

京都未生流家元で映像・造形作家の松本

司頌さんが祇をん小西で個展を開いてい

藍染め作家、うかい小夜子さんと、藍

と竹などを使ったコラボレーションを行

っている。

 「藍の風/格子の中へ」と銘打った京町家建築での個展を機に実現した共同制作は、うかい

さんの藍の絞り染めの日傘や壁掛けなどに、松本さんが水をはったあくりらいと容器に孟宗竹

の断面を立華状に設置、集積回路を絡ませた「ネット日和」や、竹枝に藍染め布の小片をから

ませて花に見立て、ほんもののハナショウブとともに生けた「空」など遊びごころあふれる5

点を発表。光の変化とともに格子の影などを作品に取り込む趣向もしゃれている。